「人との”つながり”で地域を活性化していきたい」 地域おこし協力隊 有吉 直弘さん

子どもの将来を考えて「自然豊かな土地で育ち、学ぶ」

有吉さんは、滋賀県大津市から上市町へ移住しました。田舎で生活したいと強く思いはじめたのは、1人目の子どもが生まれた頃から。自然があるところで子育てをしたいと思っていた時に、地域おこし協力隊の募集を見つけました。新たに農業にチャレンジしたいと考えていた有吉さんにとって、企画提案型の活動は、地域活性化に関わる将来の起業を想定していて、地域おこし協力隊の活動がそのまま起業の準備になるところが魅力に感じたそうです。

担当者の丁寧な対応や剱岳が見える神秘的な風景に惹かれたこと、そして、子どもの大切な将来も考え、自宅から通える高校が多いことが上市町への移住の大きな決め手に。同じような環境の候補地の中、上市町が一番、条件に合うと思ったそうです。

上市町での活動や夢について伺いました。


自然農・自然栽培にチャレンジ。「自然と地域に寄り添う暮らし」を目指して

僕は「自然と地域に寄り添う暮らし」をテーマに活動しています。その活動や生活の様子を情報発信し、移住促進、特に子育て世帯を呼び込みたいんです。それは里山の人口減少の問題を解消することに繋がって、地域を元気にするお手伝いにもなります。

具体的な活動は、農業研修先の稲葉農園さんや他の農家さんで農業技術や販売の仕組みを学び、耕作放棄地を活用して無農薬のお米づくりをしています。

農薬や化学肥料を使わない有機農業を普及させたくて、その気運を町全体で盛り上げたいので、賛同者と一緒にオーガニックマーケットの開催を予定しています。それに合わせて、オーガニック給食が全国的に盛り上がるきっかけになった映画「食の安全を守る人々」を上映する実行委員会も立ち上げました。他にも、自然や森林の保全活動の一環で、地元の自然ガイドのトコトコさんと一緒に活動したり、山の遊歩道の整備にも参加したりしています。

一人でやるのと違って、賛同する人に協力してもらうと、難しそうなことでもできちゃうと思うんですよね。

上市は生活に必要なものがコンパクトにギュッと詰まった町ですね。買い物も車ですぐに行けて、イメージしていた田舎よりもずっと便利でした。それから、水が本当においしい。関西ではありえなかったけど水道水は普通に飲んでます。うちもそうですが、お子さんがいる世帯が、自然が豊かなところで安心して住むなら、上市町はすごくいいところですよ。

妻は移住前、住宅が寒いんじゃないかと心配だったり、サポートしてくれる人がいるのかわからない状態だったので、第二子は里帰り出産を予定していたんです。でも、実際は住宅も快適だし、友だちもできて、安心してここで産めるねってなって上市町で出産をすることにしました。

それに、僕ら協力隊はある程度時間のコントロールが可能で。農業は早朝からの作業なので、ひと仕事してから、7時から10時ぐらいまでは家の手伝いができるんですね。町からは2、3か月休んでもいいって言われたんですけど、その間は無給になるし、時間をうまいこと使ったら妻のサポートとか、子どもや生まれた赤ちゃんの世話ができたんです。

これは、協力隊の制度に助けられました。

実は、僕は人と話をするのが少し苦手で。でも移住していろんな人と会って話をするようになって、人に会いに行くことが楽しみになりました。上市町の人や農家さんの人柄がいいからだと思います。これも上市町へ移住してよかったと思うところです。

 

里山の暮らしに寄り添いながら、過去のキャリアも活かす

自分でつくった無農薬米は、本当においしかった。子どもはますます白いご飯が好きになったようです。ただ一俵しか収穫できなかったんで、来年はもっとたくさん作れるように耕作地を増やしていきたいです。

今後は、自然に寄り添う暮らしということで、味噌や醤油づくりのワークショップの開催も考えています。有名な講師を招けばすぐにできるけど、そうではなくて、自分が教えたり、地域のおじいちゃんやおばあちゃんに教えてもらったりして、地域の中でやりたいと思っています。今はその勉強中です。最終的には材料も自分たちで作りたいです。

それから、もともとは仕事を持ちながら田舎での農的暮らしに憧れていたので、理学療法士の資格を活かして活動していきたいです。来年度は町が取り組むフレイルサポーター制度のお手伝いもできればと思っています。将来的には腰痛専門で個別訪問の施術を考えています。周りからみるとキャリアチェンジをしたと思われるかもしれないですが、ある程度の米を作るには、研修でしっかり学んだ方が良いと思って今のスタイルを選んでいるので、キャリアは継続、いやむしろ広げている感じですかね。卒隊してからは、こちらもどんどんやっていこうと思ってます。

 

若者にも協力隊として地域に飛び込んできてほしい

町がバックアップしてくれる地域おこし協力隊は、いろんな人と話ができ、繋がりができるので、地域に入りやすいです。僕は、区長さんや公民館主事さんなど地域をよく知っている人を訪ねていったことで、地域との交流がさらに広がりました。農業の研修先も地域で信頼のあるところなので、「ああ、あそこにいるんだね」と認知してもらいやすいと感じました。

実は、今腰を痛めてしまって、研修は一時中断して、自分のペースで教えてもらうようにしています。想定と実際にやることで差が出たりするので、活動内容や目標設定については、町の担当の方と随時話し合いをして決めているので安心ですよ。

地域おこし協力隊の活動にはいろんな成功事例があります。だから、上市町にもいろんな人に来てもらって多様な関わり方をすることで、地域が活性化すると思っています。

僕個人でいえば、オーガニックや無農薬、自然栽培、農的な暮らし、それから豊かな自然環境に興味がある人が来てくれると、一緒にできることが広がるので嬉しいですね。食の安全に興味のある人も大歓迎で、勉強会などしていきたいです。

上市町で足りないものをあえて挙げるなら若い人かな。最近は大学を卒業してすぐに地域おこし協力隊になる人もいるので、そういう人を現役隊員として紹介できたら、さらに若い人が集まって活動が活発になるんじゃないかなと思っています。


地域おこし協力隊を募集しています!

今回お話を伺った有吉さんのように、一緒に上市町で活動する地域おこし協力隊を募集しています!
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