上市町で
悠々と暮らす

日々の小さな幸せをかみしめて

自営業
冨宅(ふけ)康幸さん(2022年上市町移住)

上市町が運営する「0円空家バンク」を利用し、納屋と別館付き、9DKのマイホームを手に入れた冨宅さんご家族。ヤギとの生活やDIYを楽しみながら、忙しくも充実した日々を送っている。


上市町で住まうスイッチ「心が豊かになる暮らし」

大阪出身の冨宅さんは、仕事の関係などで各地を転々としてきました。上市町が運営する「0円空家バンク」をネットニュースで知ったのは、そろそろ持ち家が欲しいなと思っていたころ。掲載された物件に問い合わせてから、見学、契約、引っ越しまでわずか1か月ちょっとのスピード移住となりました。


きっかけをつかむのが得意な冨宅さんは、人伝いに紹介された瓦屋さんのお手伝いをしてみたり、ヤギを2頭譲り受けて飼ってみたりと、地域とのつながりを感じながら、仕事に、趣味に、子育てに、忙しくも充実した暮らしを楽しんでいます。

0円で手に入れたマイホーム

出身は大阪で、千葉、東京、沖縄、岡山、京都と引っ越しが多く、戸建ての賃貸によく住んでいました。
やっぱり持ち家がいいなと思いつつ、ローンを組んでもやはり高い。安い中古物件を手直ししながら住めたらいいな、と調べていたところ、ネットニュースで上市町の「0円空家バンク」の取り組みを知ったんです。
すぐにサイトを見ましたが、そのときには物件はなく、2022年8月にこの物件が掲載されていて、役場に問い合わせました。
当時、京都に住んでいたんですが、遠いけど1回行ってみようか、ということで見学に来て、ご縁をいただき、9月下旬に引っ越してきました。

勢いで来たといったらそうなのですが、この物件は条件が良く、そのまま住める状態でした。
住宅取得にかかる費用などに対しても助成金が出るというお話を聞いて、何も不安なく引っ越しを決断できましたね。
0円なのにきれいな状態で引き渡していただけるのは本当にありがたかったです。


古い家こそ若い世代が住めばいいと思うんです。ちょっとした改修だって、DIYしながら暮らしを楽しむことだってできますからね。
そういった意味でも、この0円空家バンクはすごくいい仕組みだと思っています。

忙しくも充実した生活

こちらに来て家の敷地が広くなったぶん、子育てもしやすくなったし、仕事の幅も広がったんです。
元々会社員のときに副業でネット通販をしていたのですが、今はそれを自営業という形で少し手を広げながら、やりたかったキャンピングカーなどの修理販売も少しずつ形にしているところです。

実はその他にも都度いろんな仕事をしていて、冬は高速道路の除雪の仕事をしました。除雪車って一度乗ってみたかったんですよね。
その除雪の仕事で知り合った方からの紹介で、最近では瓦屋さんの手伝いをしています。また、ご近所さんに声をかけてもらって稲刈りの手伝いもしました。


今後は、家のDIYを少しずつやったり、地域の活動や町のイベントにも積極的に参加したりしていきたいと思っています。
先日も、上市町の「ミライの種」というイベント(令和5年8月26、27日に開催)でフリーマーケットに出展してみました。
新しいことをするのは好きだし、もらった話は極力受けて、地域が盛り上がるようなこともしていけたらいいなと思っています。


こういった色々なことに挑戦できるのも、収入は減っても家にかかる毎月のコストがほぼなくなったので、できるのかなと思っていて。
あれもこれもやろうって、曜日感覚がなくなるぐらい忙しくはあるんですが、会社員時代よりすごく楽しく生活できています。

地域の方とのコミュニケーションも大切に

地域の方も本当に親切にしてくれて、困ったらすぐに助けてくれます。野菜や米を分けていただくことも多いです。


珍しいいただき物でいうと、地域の掲示板で知った南砺市の方から、ヤギを2頭譲り受けて庭で飼っています。
ヤギを飼い始めてからはいろんな人が見に来たり、草を食べてくれるから、除草のためにうちに来て!と声をかけてくれるようになりました。

最近二人目の子どもが生まれたことも、地域の方はすごく喜んでくれています。
コミュニケーションのきっかけはたくさんあるかもしれないですね。


周りのみなさんのやさしさに支えられているなと実感しています。
ご年配の方が多いので、若い世代はとくに歓迎してくれるし、これから来られる方にも、安心してご近所にあいさつに行って、地域の活動にも積極的に参加してみることをおすすめしたいですね。

なんでもない日常が上市の魅力

上市町で暮らしていて、いいなって思うところはたくさんあるのですが、それをどう人に伝えるのか難しい部分があるなと思っています。
ごはんがおいしいとか、日々の小さな幸せって、暮らしてみないとわからないこともあるじゃないですか。
立山連峰の眺めも本当にすばらしいですが、天候によって見えないこともあるから、観光をおすすめするのにも難しさがあります。ある意味、住んでいる人の特権ですね。
水もお米も本当においしくて、長女はもう上市町から出ないと言っていますよ(笑)。


車があれば30分、電車でも富山駅に行けて利便性もいいですし、しいていえば、関西まで北陸新幹線がつながってくれれば言うことなしかな(笑)。


地元の人からしたら「なんにもない」かもしれないけど、日ごろの生活でおいしいものが食べられて、のどかで平和って、これほど嬉しいことはない。

あちこち住んできましたが、家族みんな、ここが一番いいねって話しています。
下の子がもう少し大きくなったら、山登りやサイクリング、キャンプなんかも楽しみたいですね。