空き家の利活用に力を入れている上市町。
でも本当は、空き家になる前に利活用するのが一番良いかもしれません!
今回は、自宅の一部をリフォームしてケーキ店をオープンした「Breezy Heart (ブリージーハート)」の酒井さんにお話を聞いてきました。
住む人が1人ずつ少なくなっていく広い自宅。プロに任せるところは任せてリフォーム、できるところは家族で力を合わせてDIY。人気のシフォンケーキのお店に生まれ変わりました。
自宅や実家が将来空き家になりそうで不安をお持ちな方は、参考になることが沢山ありますので、ぜひ読んでみてください!
【目次】
⚫︎自宅を店舗活用するまでの流れ
・経緯
・時系列
⚫︎古くなった自宅をDIYリフォームするメリット
⚫︎自宅をリフォームするときの注意点
⚫︎自宅を店舗用にリフォームするときの注意点
⚫︎副業で週末起業するときの注意点
⚫︎自宅をリフォームして利活用した感想
⚫︎上市町の空家バンクと補助金
自宅を店舗活用するまでの流れ
酒井さんが自宅をリフォームして、店舗活用するまでの流れを紹介します。
リフォームと店舗活用をどのように進めたのか、ぜひ参考にしてください。
【経緯】
酒井さんは20代で嫁いでから今の家に住んでいましたが、子供が成人して家を出たり、義理の家族が老衰などで亡くなったりで1人暮らしになりました。
義理の家族にはすごくお世話になっていたそうで、家を残さなければという思いがある中、今後何をしようかと考え始めます。将来この家を改装して「カフェと美容室と農業体験ができるお店をしたい」と漠然と考えるように。
その後、家の老朽化がキッカケで、自宅リフォームを開始します。まずは昔から好きだったお菓子を作って販売するため、自宅の一部を店舗として活用できるようにリフォームしました。
【時系列】
⚫︎2018年9月
会社で経理の正社員として働きながら、2018年に開業届を出し週末にシフォンケーキを販売。
⚫︎2019年6~12月
会社での雇用形態を正社員からパートに変更。パートで働きつつ「つるぎ味蔵」にて委託販売と、前川建設の「埜の蔵」で月2回のカフェ運営。
⚫︎2020年7月
雨漏りで家の中に水たまりができるというトラブルを機に、日本政策金融公庫の融資と上市町の補助金を使いリフォーム開始。2020年の12月にリフォーム完了。
⚫︎2021年1月
実店舗開業オープン。1年前コロナの影響で一旦夢を諦めかけたが、開業までこぎ着ける。
⚫︎2022年4月
上市町の「パル」にシフォンケーキの自動販売機を設置。
2021年に補助金を申請して承認。前日の昼過ぎから仕込んで、当日の朝にパルの自動販売機に搬入というスケジュールで運用を続ける。
⚫︎2023年5月頃
貸切音楽cafe心音オープン。
2023年3月に、お茶の間をDIYでリフォーム開始。約2ヶ月後の5月にリフォーム完了。ママ会などにも使える、レコードが聞けてくつろげる場所に。「90分貸切 利用券」が、2023年11月に上市町のふるさと納税の返礼品に選定される。
⚫︎2023年6月
これまで働いていた会社を退職。ケーキ店に注力。
古くなった自宅をDIYリフォームするメリット
酒井さんはリフォームの大半をプロに頼みましたが、仕上げの壁の漆喰塗りなど、自分たちでできる範囲のことはDIYしました。
DIYでリフォームしたときに感じたメリットは、主に次の2つです。
⚫︎躊躇なくリフォームできる
新築の家の場合、自分たちでDIYするとなると失敗の恐れで躊躇してしまうと思います。しかし、築年数の経った家の場合は、躊躇なくリフォームすることができます。
酒井さんの場合は、実家の父と弟が大工だったのも大きなポイントでした。DIYやリフォームについての知識も経験もあったので、サポートしてもらいながらスムーズに作業ができたそうです。
⚫︎初期費用を抑えることができる
自宅をリフォームするとき、プロに全て頼むよりも、できる部分は自分たちでDIYした方が費用の節約になります。
酒井さんの場合は、プロに任せるところは任せ、自分たちでできるところは家族に手伝ってもらいDIYでリフォームしたそうです。自分たちで手を動かしたことで、店舗への愛着も深まったとのこと。
すべて自分たちでDIYするのはかなりハードルが高いですが、少しだけでも自分の手を加えてリフォームすることで、お金以上のメリットを得られるなと感じました。
自宅をリフォームするときの注意点
酒井さんが実体験した「自宅をリフォームする場合の注意点」を、4つピックアップしました。
無駄な失敗をする確率がぐっと下がるので、ぜひチェックしておきましょう!
⚫︎老朽化の程度
リフォームといっても程度は様々。酒井さんの場合は、家の中に水たまりができるほどの雨漏りが発生したり、使ってない部屋に白アリが発生したりするなど、老朽化部分が多数見られました。そのためリフォームも一苦労だったそうです。
⚫︎空き家の片付けや掃除
広い家だと、残置物やゴミの量が多くなる傾向があります。処分にかかる費用が、その分多く必要。処分費用節約のために、地区のゴミの日に出せるように小さくまとめておくとよいそうです。
⚫︎資材の高騰
DIYを多少取り入れたとしても、自宅リフォームはお金がかかります。今はコンパネなどの資材の価格が高騰しているので、必要な費用は想像以上です。DIYするにしても資材費はかかるので、予算には注意しましょう。
⚫︎継続的な維持管理
富山でよくある広い古民家の場合は、維持管理が大変です。酒井さんは住居兼店舗として利用していますが、それでも全てのスペースを活用することができていません。
空いている部屋やスペースの掃除など、維持管理が想像以上に大変とのこと。今後、年を重ねるたびに大変になることを考えると、お掃除ロボットの導入やスペース貸しでの活用を検討しているそうです。
自宅を店舗用にリフォームするときの注意点
自宅を店舗用にリフォームするときは、住居用にするときとは違った注意が必要です。
⚫︎キッチン
自宅を事業に利用する場合、業種によってはキッチンや床材などを住居用から事業用にリフォームしなければならないことがあります。
法律遵守の問題なので、事前に下調べは必須。後から直すと、無駄な費用と時間が必要になるので、特に注意が必要です。
酒井さんの場合は、飲食店に必須の2槽以上のシンクをオークションで購入。オークションの活用は、費用を抑えるのにオススメです。
⚫︎機材の搬入
家庭用の機材は玄関から運べることが多いですが、事業用の大きめの機材は玄関から作業場に入れることが難しい場合があります。
リフォームのどのタイミングで事業用の機材を搬入するかは、事前に考えてスケジュールを組んでおくとスムーズに進行できます。
酒井さんの場合は、重さ130kgの業務用オーブンを工房のある2階にクレーン車で搬入しました。
副業で週末起業するときの注意点
空き家になる前の自宅の利活用というメインテーマからは少し離れますが、副業で週末起業するときの注意点もお伝えしておきます。
酒井さんのように、自宅を活用した商品販売やカフェなどの副業を考えている人は要チェックです。
⚫︎時間が無い
副業で週末起業をすると、当然のことながら、その分圧倒的に時間が必要になります。副業かどうかはお客さんにとっては関係ない話なので、本気で取り組まないといけません。
限られた時間で、どう効率的にやりくりするかを工夫する必要があります。酒井さんの場合は、製菓理論を学んだり、県外の講習会に出たり、独学ではなくお金を支払って学ぶことで時間効率をUPさせたそうです。
⚫︎休みが無い
酒井さんの場合は、月曜〜木曜は会社で働きつつ、お菓子の材料の仕入れと管理。金曜・土曜は仕込み、日曜日は店舗に立って販売。このサイクルを繰り返していたので、休みはほぼ無かったそうです。
正社員→パート→アルバイト→退職と段階的に本業の会社で働く時間を減らし、時間を作ったとのこと。最初のうちは休みが無いと覚悟しておいた方が、気持ち的に楽です。
⚫︎会社の協力が必要
副業の場合、本業との兼ね合いが大事になります。酒井さんの場合は本業の会社が副業禁止だったのですが、相談して就業規則を変えてもらったり、雇用形態を変えてもらったり、さまざまな面で協力してもらったそうです。あとで揉めても大変なので、事前に相談しておくことをオススメします。
⚫︎確定申告が必要
副業の年間所得金額が20万円以上になった場合、確定申告が必要です。確定申告のための書類整理や事務作業を行わなければならないので、その時間と手間も事前に折り込んでおくと安心です。
⚫︎資金調達
事業を始める場合、資金の調達が必要になる場合があります。酒井さんは日本政策金融公庫を利用したとのこと。詳細は、下記リンクから確認して下さい。
≫日本政策金融公庫
自宅をリフォームして利活用した感想
酒井さんに、「自宅をリフォームして利活用した感想」を聞いてみました。
⚫︎大変だったこと
自宅となる建物だけでなく敷地内に田畑もある場合は、それらも全て合わせた維持管理が必要になってくるので想像以上に大変です。
駐車場スペースを十分に確保したつもりでしたが、冬は屋根雪や積雪で駐車スペースが狭くなるため除雪が必要。維持管理する敷地が広いと、さらに大変さが加わります。
⚫︎良かったこと
自分の思った通りの店舗にリフォームできたことは、とても良かったそうです。自分が気に入った空間なので、一人ひとりのお客様と楽しく話ができ、コミュニケーションの場にもなっているとのこと。
娘と息子の名前を英語変換して店名に入れて開業した店舗。いずれは家族で「カフェと美容室と農業体験ができるお店」をしたいそうです。家自体が広く、空いているスペースが沢山ある環境。色々なことに挑戦できるので、今後の展望に胸を膨らませているそうです。
上市町の空家バンクと補助金
自宅をリフォームして店舗活用した酒井さんの話を聞いて、空き家になってしまう前に利活用することの可能性を実感しました。一部DIYを取り入れることで、建物への愛着も湧きます。
空き家の予防という視点で考えていくと、利活用の可能性はまだまだ広がります。
上市町では空き家の利活用に力を入れており、各種補助金のほか、「空家バンク」や「0円空家バンク」などの制度が充実しています。ぜひ上手く活用してください。
【空き家の利活用や創業に活用できる補助金など】
・空家に関する各種補助金
・上市町創業等支援事業費補助金
・上市町空き店舗活用等地域活性化事業費補助金
・上市町創業支援融資貸付利子助成金
・上市町移住支援金について
0円空家バンクのしくみ
0円空家バンクの仕組みについては、上記動画を見ていただくと大まかな流れが分かります。
上記の動画もあわせて見ていただくことで、より理解が深まるはずです。
空き家の利活用に少しでも興味がある方は、上市町役場の建設課管理建築班までお気軽にご相談ください。どんな小さなお悩みや質問でも、全力でサポートさせていただきます。
上市町建設課管理建築班
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相談や問合せは、かみいち空家の窓口まで
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