「須山のタケノコが好きだから」 白萩西部地区須山区長 水林 憲一さん

上市町で生きるスイッチ「愛があるからできること」

富山県上市町の中でも少し高台にある須山(すやま)地区。棚田と民家が並び、周りを山林や竹林が囲む自然豊かな地域です。
山林と棚田が広がる景観豊かなこの場所に生まれ育ち、今や須山区長であり、竹炭焼きを行う「須炭会」会長でもある水林さん。
放っておいたら荒れ果ててしまう竹林をなんとか整備して残していきたい。そんな思いで20年以上にわたり竹林整備を続けています。
大好きなタケノコを研究し、独自の加工品づくりや竹炭づくり、竹を活用した地域活性に取り組んむ思いを語ってくれました。


生まれてこのかたずっと上市

 

俺は生まれたときからずっと須山。小学校も白萩西部小学校。木造の建物でね。
おふくろが東京から来てて、戦後疎開してきてね。そのままここに居ついて。
うちは分家だったから、もともと竹林はなかったんだよ。

だけど俺ちっちゃいときからタケノコっていうがにもう憧れとったもんだからさ、なんとかなんとかと思って親父に言うてさ、そいで竹林買ったがやちゃ。

子どもの頃から憧れていた竹林を自分で管理し始めてからは20年以上になるかな。
春先にタケノコを採って、竹林整備して、竹が成長すれば竹炭を作っとる。竹炭は上市町の「アルプスの湯」(日帰り温泉施設)っていうところにあげたり。
竹炭づくりの目的は“竹酢液(ちくさくえき)”なんだよ。竹酢液を作って田んぼに撒いてる。除草効果だとか殺虫効果もあるし、根の活性化にもいいと言われてるんだ。親からもらった土地だから、田んぼもやっとるよ。

“水林印”のタケノコ水煮

タケノコは、なにも加工せんとそのまま食べられるのが一番いい。

だけどタケノコのシーズンちゃ短いねか。それを加工すれば1年とか2年とか楽しめる、ていうことで加工しとんがんだね。これは本当の知り合いにしか売らんがやちゃ。
朝の4時半や5時にタケノコを採りに行って、すぐ皮をむいて生のまま瓶に詰める。採った生のままを瓶に詰めて煮てるから、“瓶の缶詰”って言ってるんだ。生のタケノコを瓶ごと2時間ゆでて、瓶の中は“だし”になる。だから分けてほしいっていう人にも、その中のだし、エキスも使ってねって言って渡しとる。
ゆでてる間にタケノコが縮むから、隙間が空いてるところにもうタケノコがつぶれてもいいと思って詰めとるんよ。(笑)
それとね、ここら辺のタケノコはアク抜かんでもいい。4月の旬の時期には、採ったそのままのタケノコをズバズバ切って、鉄板にオリーブオイルひいてステーキ焼きにして、バターをちょこっとかけて食べてもらう。
やっぱりタケノコのシーズンに来てもらうのが一番いいね。

簡単ではない竹林整備。だけど、タケノコが大好きだから。

タケノコは4月の23週間のもの。だけど竹林整備ってなると1年間の仕事だよね。
ちゃんと管理してないと、雪で折れたりしてケガのもとになる。だからそれを手入れするっていうのはやっぱり技術と根気がいるんだよ。

あとタケノコにとって問題なのはイノシシ。もうタケノコが大好物なの。イノシシは嗅覚がいいから、もう11月ぐらいになったら掘り始めるんだよ。4月になってタケノコが頭出したらトンボ先(穂先)を倒して根っこのほうまで食べる。ここら辺のタケノコはね、根っこのほうがウマいんだよね。イノシシもそれをわかっとる。
それとね、もう一つ問題なのが裏作と表作があるってこと。裏作になるとね、タケノコ美味しくないんだよ。裏作の年はタケノコ掘らないんだ。

だけど竹林を続けるんは、好きだから。

ここのタケノコが大好きだから。だから2年に1回でもいいから食べたいっていう感じなんだ。だからそういう人をね、実は俺探してるんだよ。こういうウマいタケノコなら2年に1回でもいいよっていう人。そういう人に竹林管理してもらえんかなと。ここに入るっていうことはそれなりに覚悟がないとさ、難しいことかもしれないけど。

若い方も大歓迎だよ。


プロジェクトメンバーの採用が決まり、募集を終了いたしました。

今回お話を伺った水林さんが地区会長を務める須山地区では地域おこしプロジェクトのひとつ「純国産メンマ」プロジェクトに取り組んでいます。
採用された地域おこし協力隊員は、上市ブランドメンマの開発や販路開拓、竹林資源を生かしたイベントの企画など、竹林整備で発生した竹を活用し、豊かな竹林を守るための活動を推進します。任期終了後はプロジェクトを引っ張っていく人材になってほしいと思います。