空き家だった実家をリノベーションして「小さな結婚式場&自宅」へ利活用!

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空き家になった実家を「売却するのか? 解体するのか? リフォームして活用するのか?」どうするか迷って動けないまま、固定資産税だけ支払っている。

そのような方は、今回の記事を読むと一つの可能性を知ることができます。


今回取材させていただいたのは、富山県上市町で空き家になっていた実家をリノベーションして事業所兼自宅として活用しておられる髙野さん。

旦那様と娘さんとともに、石川県から上市町へ移住。娘さんへの想いがキッカケで、仕事を辞めて小さな結婚式場の事業を始めようとしています。


登記の問題や業者とのやりとりなど、話を聞いただけで大変だったことが分かるのですが、それでも実家をリノベーションしてよかったと笑顔で話す髙野さん。

大変な思いをしてまで実家をリノベーションする良さはどこにあるのか?実際にどんなトラブルが起こったのか?

 

実体験満載のここでしか知れない情報が盛り沢山なので、ぜひ最後まで読んでみてください。

 


【目次】
⚫︎ビフォーアフターの動画&画像
⚫︎空き家リノベーションの流れ
 ・時系列
 ・経緯
⚫︎空き家リノベーションで大変だったこと
⚫︎どんなに大変でも空き家を利活用する理由
⚫︎実家でしか得られない良さ
⚫︎住んで気がつく上市町の良さ
⚫︎上市町の空家バンクと補助金

 

ビフォーアフターの動画&画像

髙野さんの自宅がリノベーションでどのように変わったのか、まずはこの動画を見てみてください。

最初はビフォー、動画途中の1分14秒あたりからはアフターの内容になっています。

 

リノベーション前の外観

髙野さんの実家は、築65年以上 (一部45年以上) の平屋建て。

空き家になってからは、家の風通しや掃除、庭の草木などを近所の人に頼んで管理してもらっていました。

 

リノベーション後の外観

今回のリノベーションで、外観が一変しました。

平屋から2階建てとなったことで、ほぼ元の家の面影がないくらいにキレイに生まれ変わっています。

 

リノベーション前の廊下

昔ながらの天井と廊下。

この廊下は増築した部分で、写真には写っていないですが手前に約60㎝の段差がある状態でした。

 

リノベーション後の廊下

床は桧のフローリング、天井や壁もキレイにリノベーション。

元々の廊下にあった段差もなくなり、車いすでも移動可能なバリアフリー仕様に生まれ変わりました。

 

 

空き家リノベーションの流れ

空き家になっていた自宅をリノベーションするまでの、時系列と経緯について順番に紹介します。

 

【時系列】
⚫︎2020年頃
実家の利活用を決心 土地問題・登記手続き・住宅情報収集と相談開始

⚫︎2022年夏頃
敷地内を整地する工事着工・完了

⚫︎2023年1月
自宅の工事着工(一部解体、整地してから地鎮祭)

⚫︎2023年6月下旬
全体の工事終了

 

【経緯】
髙野さんの物件は、空き家になって約25年ほど経過した物件。

家族全員が転居したことをきっかけに空き家になり、近所の方に、庭木の剪定、家の中の風通しなどの管理をしていただいている状態だったそうです。

 

長年空き家になっていたこともあり、上市町からお母様に「空き家をどうしますか?」と相談が入ります。

始めは移住するつもりはなかったのですが、他の親族は誰もいらないということで、とりあえずリフォーム会社などの情報収集を開始。その後、家族の退職などを機に、本格的に移住を検討し始めます。

予算やリノベーション内容などについて複数社と打ち合わせをし、実際にリノベーションをお願いする会社を決定。建設会社との見積相談期間中に、旦那様が病気で倒れ入院となり、建設計画が途中で中断したこともあって時間がかかったそうです。


まずは重機を入れるスペースを確保するため、敷地内で邪魔になる納屋を取り壊し更地にしました。

その後、平屋から2階建て、玄関の向きの変更など、プラン変更があったため、リノベーションが全て完了するまでは建築会社を決定してから約9か月、最初の情報収集と土地問題からは約3年かかりました。

 

 

空き家リノベーションで大変だったこと

空き家のリノベーションで大変だったことは次のとおりです。事業所兼自宅ならではの大変さもあるので参考にしてください。

 

⚫︎リノベーション会社との打合せ
石川県在住だったため、打合せなどの用事があるたびに富山県に出向くのが大変だったそうです。建築会社各社の見積もりなどの細かい打ち合わせで現場に出向かないといけないことが、想像よりも多くあったとのこと。

 

⚫︎建物の安全面
約25年空き家になっていたため、柱がシロアリの被害にあっていたり、電気の配線や水道管が古くなっていたりと、直さないといけない箇所が多数。耐震の対応も必要で、素人目には建物の安全性が分からないので、お金はかかっても全てプロの判断に任せたそうです。

 

⚫︎土地の名義変更
敷地内の一部の土地が他人名義になっており、その土地の取得と名義変更がかなり大変だったそうです。国有の水路も上市町から購入しました。そのため土地家屋調査士に入ってもらって境界を決定したり、土地を購入するために何回も色々なところに足を運んだり、時間と費用がかなりかかったとのこと。

 

⚫︎リノベーション会社の選定
どこの会社に頼めばよいのか分からず、思い描く形でリノベーションしてくれる会社にめぐりあうまでが大変だったそうです。旦那様の病気で数回中断したため、相当時間がかかりましたが、最終的には納得のいく会社にお願いでき、想像以上の仕上がりになったとのこと。

 

⚫︎膨らんだ費用
建築会社にどこまでの工事を頼めるか分からず、納屋の解体と家のリフォームを別々の会社に依頼してしまったため、想定よりも時間や費用がかかったそうです。同じ会社に頼めば無駄な費用がかからなかったのに、と後悔しておられました。補助金の対象ではなく、経済的負担が想定より増えたとのこと。

 

⚫︎事業所のレイアウトや費用
住居としてだけでなく事業所としても使用するので、荷物が多く家具のレイアウトが大変だったそうです。建築会社に予算を伝えて、その範囲で出来ることをお願いし、駐車場や駐輪場を追加しても良心的価格で対応してくれ、使いやすく仕上がり嬉しいとのこと。

 

 

どんなに大変でも空き家を利活用する理由

多くの困難に直面しても、空き家となった実家を利活用して小さい結婚式の事業を始めようとする髙野さん。その熱意と行動力の源は、娘さんへの想いです。

 

新型コロナウイルスが流行り出した2020年。結婚式を直前に控えている看護師の娘さんが「コロナの関係で、職場から、退職するか結婚式を延期するかを迫られ、結婚式を挙げられないかもしれない」と涙ながらに電話をしてきたそうです。

そこで「だったら実家をリノベーションして、規模は小さくてもいいから親子で結婚式を挙げられるようにすればいい」と考えた髙野さん。撮影用の色打掛や白無垢、ドレス、化粧台などを購入して、少しずつ準備を始めます。

 

結局、娘さんの結婚式は1年後に無事行われました。しかし、挙式の予算の問題で困る親子はいると考え「花嫁に口紅をさしたり、打掛をかけてあげることを母親にしてもらい喜んでほしい」という考えが生まれ、小さな結婚式場の事業と実家のリノベーションは継続することになります。

 

髙野さんがどんな困難が立ちはだかっても諦めずに行動しつづけた背景には、このような想いがあったのです。

 

髙野さんは、小さな結婚式のプロデュース、それにともなう振袖や訪問着などを着ての撮影といったことを構想中。

 

家の中は、くぐると幸せになれる反物で手作りした「花嫁のれん」や大きめの化粧台、縁起のよい鶴の模様の扉など、そこにいるだけで幸せな気持ちになれる空間になっています。ここで親子でリラックスしながら撮影をすれば、きっとかけがえのない思い出となるはずです。

 

その他にも着用できる鎧兜や五月人形、雛人形、十二単、七五三の着物などもあるので、子どもの成長にあわせたイベントへの対応も考えているとのこと。

 

 

実家でしか得られない良さ

小さな結婚式への想いが強い髙野さんですが、実家への強い想いもあります。

実際に実家をリノベーションして住んでみると、実家でしか得られない次のような良さがあったそうです。

 

⚫︎思い入れのある部屋
髙野さんが子どものころに、大工だった父は3年がかりで2部屋を増築。その時に、お手伝いで釘を打たせてもらった思い出のある部屋があります。そしてその座敷で自分の結納をしたそうです。その部屋を残せたことで、当時の思い出や父を思い出し、幸せな気持ちになれるそうです。

 

⚫︎やっと帰ってこられたという気持ち
結婚して家を出てから、また実家に戻ってくるつもりはなかった髙野さん。でも数十年ぶりに戻ってきて住んでみると、小さかった当時の思い出がさまざまなところにあるので、心の温かさが今までの住居とは全く異なるとのこと。この家が私を待っていてくれたと実感し、ありがたいなと思うそうです。

 

 

住んで気がつく上市町の良さ

一度県外に行ったあと再び上市町に戻ってみると、上市町ならではの良さがたくさんあることに気づいたそうです。

 

⚫︎上市町役場と距離感が近い
持病を抱えている家族のことであったり、移住のことであったり、不安なことはたくさんあったのですが、上市町役場の方が親身になって相談にのってくれたそうです。実際、私 (筆者) も上市町に住んでいますが、役場の方との距離が近いと感じています。

 

⚫︎総合病院がある
持病を持つ家族がいて、移住する前は複数の病院に付き添っていた髙野さん。上市町には「かみいち総合病院」があるので、1ヶ所の付き添いで済むため助かっているそうです。以前通院していた病院で紹介状を書いてもらって、すべてを総合病院で一括して診てもらえることになりました。
かみいち総合病院

 

⚫︎公共交通機関のバスの便利さ
上市町営バスは、バス停以外でも路線上であれば、一部の区間や時間帯を除き、家の前などで自由に乗降ができます。雨や雪など天気が悪い日や、重い荷物を持っているときなどはとても便利です。偶然にも利用したい時間帯に、ちょうどバスが運行されていたので助かったそうです。
上市町営バス時刻表(令和4年9月1日改正)

 

 

上市町の空家バンクと補助金

髙野さんの実家リノベーションの話を聞いて、実家を利活用することでしか得られない想いがあることを実感しました。

空き家の利活用は大変な部分もありますが、思い出ってなにものにも代えがたいですよね。

 

上市町では空き家利活用の大変さを少しでも軽減するために、各種補助金のほか、「空家バンク」や「0円空家バンク」などの制度が充実しています。ぜひ上手く活用してください。

【空き家の利活用や創業に活用できる補助金の一部】
空家に関する各種補助金
上市町創業等支援事業費補助金
上市町空き店舗活用等地域活性化事業費補助金
上市町創業支援融資貸付利子助成金

 

上市町0円空家バンクのしくみ

上市町ホームページ (0円空家バンク)

0円空家バンクの仕組みについては、上記動画を見ていただくと大まかな流れが分かります。

 

0円空家バンクを利用してみませんか?【動画】

上記の動画もあわせて見ていただくことで、より理解が深まるはずです。

 

空き家の利活用に少しでも興味がある方は、上市町役場の建設課管理建築班までお気軽にご相談ください。

どんな小さなお悩みや質問でも、全力でサポートさせていただきます。

上市町建設課管理建築班
〒930-0393 上市町法音寺1番地 (3階)
Tel:076-472-2477
Fax:076-473-2085

相談や問合せは、かみいち空家の窓口まで
https://www.town.kamiichi.toyama.jp/page/1767.html